抗血栓療法の内、赤色血栓に用いる抗凝固療法についてのメモ。 赤色血栓は、静脈など元々血流が緩徐な部位で血流が停滞し、血液の液性因子が活性化してフィブリンが網状構造を形作ったところに、 赤血球が絡まって形成される。 赤色血栓の形成には血小板があまり関与せず、抗血小板療法では、血栓形成の抑制はほとんど期待できないので、ワルファリンを用いた 抗凝固療法が不可欠。 代表的な疾患は、深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis:DVT)、肺塞栓(Pulmonar Embolism:PE)、 心房細動(Atrial fibrillation:Af)(Stroke Prevention in Atrial Fibrillation:SPAF)が原因の脳梗塞(Cerebral Infarction)など。 その他、門脈血栓症、脳静脈洞血栓症、腸間膜静脈血栓症なども静脈血栓症。エコノミークラス症候群とも呼ばれる。 抗血小板薬は抗凝固作用を持たないが、抗凝固薬はトロンビンの産生抑制あるいは直接阻害を介した抗血小板作用を持つので注意!!
Warfarin:ワルファリンはビタミンK依存性の血液凝固第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の産生を抑制して抗凝固作用を発揮する。 ワルファリンがプロトロンビン(血液凝固第Ⅱ因子)生成を抑制しても、プロトロンビンは半減期が長いため2~3日は血中に残存。 ワルファリンの半減期は約36時間と長いので、投与を中止しても通常の凝固能に回復するまでに時間を要する。
ワルファリン (ワーファリン:エーザイ) 投与後12~24時間で作用発現。中止後48~72時間後まで作用持続。 手術前中止時期は、4~5日前とされる。 併用注意多数。併用禁忌:グラケー、ケアラム(コルベット) ビタミンKが豊富な納豆・クロレラ・青汁の飲食は、薬の効力がなくなってしまうので避ける。
適応:血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防 用法:初回投与量は、ワルファリンカリウムとして、通常1~5mg1日1回 維持投与量は1日1回1~5mg程度となることが多い。(個体差が大きく、同一個人でも変化する) SE:重い出血(消化管出血、肺出血、脳出血、眼底出血)、皮膚壊死、肝臓の重い症状 薬価:2016 ワーファリン錠0.5mg:9.6円、1mg錠:9.6円、5mg錠:9.9円
ワルファリンだけだったが、どんどんと新しい薬が。新規経口抗凝固薬 (NOAC:Novel Oral AntiCoagulants)。 直接トロンビン阻害剤。フィブリン生成に必要なトロンビンを直接阻害。(活性化した血液凝固第Ⅱ因子:Ⅱa)。 既に存在するトロンビンを阻害するので、初期トロンビンも阻害する。
ダビガトラン エテキシラート (プラザキサ:ベーリンガー) Dabigatran etexilate:手術前中止時期は1日前とされる。(大手術の場合は2~4日前) 110mgカプセルを2カプセルを1日2回という処方箋で、その医院の隣の薬局には在庫がないというので、来られた方が。 広域病院の処方を継続しようとして、専門外なので間違えたようだが、薬局も在庫の問題ではないだろうに。 死んでしまいます。 併用禁忌:イトリゾール
適応:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 用法:ダビガトランエテキシラートとして1回150mg(75mgカプセルを2カプセル)を1日2回経口服用する。 必要に応じて、ダビガトランエテキシラートとして1回110mg(110mgカプセルを1カプセル)を1日2回服用へ減量 腎臓病のある人、高齢の人 SE:重い出血、間質性肺炎、アナフィラキシー 薬価:2016 プラザキサカプセル75mg:136.4円、110mgカプセル:239.3円
NOAC。 外科領域で使用されるものもある。 活性化第Ⅹ因子(Ⅹa)を直接阻害。STEMはキサバン?(xaban、xaをbanする???) NOACの血中濃度は0.5~4時間でピークに達し、半減期は5~14時間。 NOACの抗凝固作用は血中濃度に依存しているので、投与後すぐに効きはじめ、比較的早期に効果が消失します。 NOACは凝固因子の産生量には影響せず、NOACの効果が消失すると元の凝固能の状態に戻り止血機構が復活。 既に存在するトロンビンは阻害しない。 恒常的に産生されていて、生理的な血小板活性化や止血に関与している微量の初期トロンビンは阻害しない。
リバーロキサバン (イグザレルト:バイエル) Rivaroxaban:24時間で排泄される。手術前中止時期は1日前。小手術・内視鏡観察のみの場合は中止しないことが望ましい 併用禁忌:リトナビル、アタザナビル、ヴィキラックス、イトリゾール、ブイフェンド、スタリビルド等
適応:A:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制(SPAF) B:深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制(DVT/PE) 用法:A:リバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口服用する。 腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。 B:深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口服用。 その後は15mgを1日1回食後に経口服用する。 SE:重い出血、肝臓の重い症状、間質性肺疾患、血小板減少など 薬価:2016 イグザレルト錠10mg:383円、15mg錠:545.6円、細粒分包10mg:413円、15mg包:588.4円 545.6円/日
服用を忘れた時 SPAF 気付いた時に直ぐに1回分を服用する。ただし、次の服用まで12時間以上空ける。 絶対に2回分を一度に服用しない。 DVT/PE ①初期治療の場合:直ぐに服用し、1日の用量が30mgになるようにし一度に2回分を服用してもよい。 翌日からは通常通り1回1錠1日2回服用する。 ②維 持 期の場合:気付いた時に直ぐに1回分を服用する。ただし、次の服用まで12時間以上空ける。 絶対に2回分を一度に服用しない。
適応:A:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制(SPAF) B:静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制(DVT/PE) 用法:A:アピキサバンとして1回5mgを1日2回経口服用する。 年齢、体重、腎機能に応じて、アピキサバンとして1回2.5mg1日2回服用へ減量する。 B:アピキサバンとして1回10mgを1日2回、7日間経口服用した後、1回5mgを1日2回経口服用する。 SE:重い出血、間質性肺炎など 薬価:2016 エリキュース錠2.5mg:149円、5mg錠:272.8円 545.6円/日
適応:A:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制(錠15mg~30mg~60mg) B:静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制(錠15mg~30mg~60mg) C:下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制(錠15mg~30mg) 膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術 用法:A・B:エドキサバンとして以下の用量を1日1回経口服用する。 体重60kg以下:30mg。体重60kg超:60mg。なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。 体重60kgを超える患者のうち、次のいずれかに該当する患者には、30mgを1日1回経口投与すること。 キニジン硫酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩、エリスロマイシン、シクロスポリンの併用・クレアチニンクリアランス30mL/min以上50mL/min以下 C:エドキサバンとして30mgを1日1回経口服用する。 原則として、術後の入院中に限って使用すること。 クレアチニンクリアランス30mL/min以上50mL/min未満の患者では、個々の患者の静脈血栓塞栓症発現リスク及び出血リスクを評価した上で、 15mg 1日1回に減量することを考慮する SE:重い出血、肝臓の重い症状など。 薬価:2016 リクシアナ錠15mg:294.2円、30mg錠:538.4円、60mg錠:545.6円 545.6円/日 (30mgの場合、60㎎分割だと約半額になる)
適応症別使用用量リスト NameSPAFDVT/PE初期DVT/PE維持手術施行患者 リバーロキサバン15mg 1日1回(10mg 1日1回)初期3週間15mg 1日2回15mg 1日1回- アピキサバン1回5mg 1日2回(1回2.5mg 1日2回)7日間1回10mg 1日2回1回5mg 1日2回- エドキサバン1日1回 30mg ≦ 60kg < 60mg60kg超でも、腎機能、併用薬により1回30mgに減量30mg 1日1回(15mg 1日1回)