C型肝炎治療

インターフェロンを長々と注射していた時代は終わった。Direct-acting Antiviral Agent:DAA
遺伝子の型、ジェノタイプにより、効果が違う。ジェノタイプは6タイプあるが、日本のC型肝炎は1と2。
亜型では1aは北米に、1bはアジア、2は日本に多いらしい。日本では1b:70-80%、2a:10-20%、2b:10%以下。
エジプトなどでは遺伝子タイプは4とかで、これらにも効果のあるDAAも開発中とのこと。
世界的に撲滅するのはまだ先らしい。

HCV蛋白の構造と機能

出典:国立感染症研究所ホームページ
 むずかしい箇所はかなり省略。

HCVは約9600塩基長からなるプラス鎖の一本鎖RNAをゲノムとしており、このRNAにコードされる約3000アミノ酸からなる一本の
ポリプロテインは、宿主及びウイルスのプロテアーゼによって切断を受け、ウイルス 粒子を形成する構造蛋白質 (Core、E1、E2) と
ウイルス粒子に含まれない非構造 (NS) 蛋白質 (NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5B) が産生される。(RNAの複製に関わる。)
さらに、構造蛋白質のC末端側にはp7と呼ばれる小さな分子が存在するが、p7がウイルス粒子に含まれるかどうかは不明である。
HCVのRNA構造

(1) コア蛋白

HCVポリプロテインのN末端に位置するコア蛋白は他のフラビウイルスのN末に位置する蛋白と同様にウイルス粒子の内部
(ヌクレオキャプシド)を形成する。
他の領域に比べ、コア蛋白の遺伝子配列は異なる遺伝子型のウイルス間で高く保存されている。そのため、コア領域を標的とした抗体を用いた診断系はHCVキャリアーの発見に大変有用であった。
 … … …
コア蛋白はウイルス複製、成熟、病原性発現などに重要な役割を果たす多機能蛋白と考えられている。
すなわち、単にウイルス粒子形成だけでなく、細胞内情報伝達系、細胞やウイルス遺伝子発現、細胞のトランスフォーメーション、
アポトーシス、脂質代謝などにも影響を与えていることが報告されている。

(2)E1, E2エンベロープ蛋白

E1およびE2蛋白は脂質膜とともにウイルス粒子の外被 (エンベロープ) を構成し、ウイルスのエントリーに重要な役割を果たしている。
いずれも糖鎖蛋白で、
 … … …
成熟したE1およびE2はERに固定され、互いに結合して複合体を形成しているものと思われる。

(3)p7蛋白

p7蛋白は63アミノ酸の小さい疎水性の蛋白で2回膜を貫通している。この蛋白はin vivoで感染性のウイルス粒子産生に重要ということがわかっている。
また、膜の透過性に関与するという報告やイオンチャンネルとして機能するという発表もある。
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(4)NS2蛋白

NS2蛋白は21-23kDaの膜貫通型の蛋白で、N末端の96塩基長の疎水性領域の3-4個の膜貫通性のヘリケース構造を持ち、ER膜へと侵入している。
NS2蛋白のC末端側はNS3のN末端領域とともに細胞質側に存在し、金属要求性プロテアーゼ活性を有している。
NS2が欠失したレプリコンでも複製することからNS2はウイルスRNA複製に関与していないものと思われる。
しかしながら、in vivoまたはin vitroいずれでもNS2はウイルス生活環に重要な役割を果たしている可能性が示されている。
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(5) NS3-4A結合体

NS3はNS4Aと結合して、ウイルス蛋白のプロセッシングとRNA複製に働く。
NS3はやや疎水性の69kDaの蛋白で、N端三分の一がセリンプロテアーゼ活性を持ち、補因子として54アミノ酸のNS4Aが結合する。
NS4Aの中央部分がNS3によるプロセッシングに重要である。NS4AのN末端は膜貫通性ヘリックス構造を取っており、NS3-4A複合体はこのNS4AのN末端で膜に固定されていると考えられている。
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NS3のC末端から442アミノ酸はヘリケース、NTPase活性を有する部位であり、二本鎖のRNAを3末から5末へ解く作用がある。
結晶解析の結果からも、NS3のC端にはNTPase部位とRNA結合部位が存在することが確認できている。
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(6)NS4B蛋白

NS4Bは27kDaの膜に埋まっている蛋白で、少なくとも4つの膜貫通部位を持ち、N末端ヘリックス構造が膜との固定に重要な役割を果たしていると考えられている。
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(7) NS5A蛋白

NS5Aは膜に結合するリン酸蛋白であり、56kDaの基礎リン酸化型と58kDa超リン酸化型の2つの形態をとっている。
NS5Aはアミノ酸番号1-213のドメイン1、アミノ酸番号250-342のドメイン2、アミノ酸番号356-447のドメイン3の3つに分けられる。
ドメイン1は膜に固定するためのアルファヘリックス構造を持ち、膜やRNAだけでなく、ウイルスや宿主蛋白と結合しているものと思われる。
一方、その機能については十分に判明してないが、ウイルスRNA複製に重要な役割を果たしているものと考えられている。
細胞培養において見られる適応性変異はNS5A領域に集中しており、RNA複製に寄与しているものと思われる。
これらの適応性変異はNS5Aの超リン酸化を起しており、NS5Aのリン酸化は複製効率に影響を与えているものと思われる。
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NS5Aは複製複合体の形成に重要で、ウイルス複製を制御しているものと考えられている。

(8) NS5B蛋白

NS5Bは68kDaの蛋白で、ゲノムRNAの複製に必須なRNA依存性RNAポリメラーゼとして機能し、その活性部位には既知のモチーフであるGDD配列を有している。
NS5BはそのC末端21アミノ酸にアルファヘリックス構造の膜貫通領域を持ち、この部位で膜に固定されている。そのC末端はポリメラーゼ活性には影響を与えないものの、翻訳後のNS5B蛋白がERの細胞質側へ結合するのに重要であることが知られている。
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DAA (Direct-acting Antiviral Agent)

現在3種類。組み合わせて使用。リトナビルとかリバビリンを併用するケースも。

NS3-4A プロテアーゼ阻害薬

C型肝炎由来のプロテアーゼ(NS3/4Aプロテアーゼ)を阻害する。
RNAからC型肝炎ウイルスを形作るために必要なタンパク質が作られるが、作られるのは大きなタンパクの塊なので、C型肝炎ウイルスとして
作用できるように、このタンパク質が機能できる形へと切断する必要がある。切断を行う酵素:プロテアーゼを阻害する。

Telaprevir (テラビック)
Simeprevir  (ソブリアード)
Asunaprevir  (スンベプラ)
Vaniprevir (バニヘップ)
Paritaprevir (*ヴィキラックス配合)
Grazoprevir (グラジナ)

NS5A 複製複合体阻害薬

HCV複製における複合体形成に必須の多機能性タンパク質NS5Aを阻害。

Daclatasvir (ダクルインザ)
Ledipasvir (*ハーボニー配合)
Ombitasvir (*ヴィキラックス配合)
Elbasvir (エレルサ)

NS5B ポリメラーゼ阻害薬

HCV RNA活性化に関与するNS5Bポリメラーゼを阻害。
ウイルスのRNA連鎖に直接入り込みRNAの延長をストップするので、チェイン・ターミネーター(鎖を断ち切るもの)と言われている。
NS5A領域の変異ウイルスは1,2割存在すると言われ、NS5A阻害薬の著効率が低下する。
NS5Bポリメラーゼ阻害薬の耐性原因となるNS5B領域のS282変異ウイルスは日本にはほとんどいない。

Sofosbuvir (ソバルディ)(*ハーボニー配合)

製品

インターフェロン フリーのものをリスト。

ダクラタスビル・アスナプレビル (ダクルインザ・スンベプラ:ブリストル)

透析患者とか腎機能が悪い場合には選択される。6か月
併用注意、禁忌多数。
併用禁忌:リファンピシン、リファブチン、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、デキサメタゾン、モダフィニル、
ボセンタン、シクロスポリン、フレカイニド、プロパフェノン、リトナビル、アタザナビル、インジナビル、サキナビル、
ダルナビル、ネルフィナビル、ホスアンプレナビル、ロピナビル/リトナビル、エファビレンツ、エトラビリン、ネビラピン、
コビシスタット、イトラコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、クラリスロマイシン、
エリスロマイシン、ジルチアゼム、ベラパミル、セイヨウオトギリソウ


Daclatasvir (NS5A 複製複合体阻害薬) + Asunaprevir (NS3-4A プロテアーゼ阻害薬)
適応:セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善。
用法:ダクラタスビルとして1回60mgを1日1回経口服用する。
   アスナプレビルとして1回100mgを1日2回経口服用する。服用期間は24週間とする。
SE:頭痛、発熱、下痢や吐き気、肝機能値の悪化と好酸球増加
薬価:2016 ダクルインザ60mg錠:7,902.9円、スンベプラカプセル100mg:2,847.4円
   13,597.7円/日

レジパスビル・ソホスブビル (ハーボニー:ギリアド)

NS5Bポリメラーゼ阻害薬を持つため、治療前の薬剤耐性変異の影響を受けにくい。
Sofosbuvirは活性代謝物が核酸の代わりに取り込まれ、HCV RNA鎖の伸長を停止させて抗ウイルス作用を発揮する
核酸アナログ製剤に分類され、治療失敗時の薬剤耐性変異が生じにくいという特徴もある。
腎機能が著しく低下している場合は使用できない。
併用禁忌:カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ

Ledipasvir (NS5A 複製複合体阻害薬) + Sofosbuvir (NS5B ポリメラーゼ阻害薬)
適応:セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
用法:1日1回1錠(レジパスビルとして90mg及びソホスブビルとして400mg)を12週間経口服用する。
SE:かゆみ、吐き気、口内炎などがみられますが、重い副作用の報告は今のところない。最近血圧上昇の注意が。
薬価:2016 ハーボニー配合錠:54,796.9円
   54,796.9円/日

オムビタスビル・パリタプレビル (ヴィキラックス:アッヴィ)

腎機能の制限はないのでハーボニーより使いやすい。透析の方はダクルインザ・スンベプラだった。
ブースターとしてリトナビルを含むが、CYP阻害作用を有するため、併用禁忌・注意が多い。
パリタプレビルの代謝酵素CYP3Aを阻害してパリタプレビルの血中濃度を保つため、リトナビルを含む。なので併用注意が多いのは当然。
リトナビル自体も、抗レトロウイルス効果を持つプロテアーゼ阻害薬の一つ。
浮腫関連有害事象が多いが、Ca拮抗薬の併用を避けることで低減される。
併用禁忌:アゼルニジピン、他のCa拮抗薬は併用注意。 トリアゾラム、ミダゾラム、ブロナンセリン、ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩、
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、シルデナフィルクエン酸塩、
タダラフィル、リバーロキサバン、バルデナフィル塩酸塩水和物、リオシグアト、シンバスタチン、アトルバスタチンカルシウム水和物、
カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、リファンピシン、エファビレンツ、セイヨウオトギリソウ、
エチニルエストラジオール含有製剤


Paritaprevir (NS3-4A プロテアーゼ阻害薬) + Ombitasvir (NS5A 複製複合体阻害薬) + Ritonavir(Paritaprevirのブースター)
適応:セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善。
用法:1日1回2錠(オムビタスビルとして25mg、パリタプレビルとして150mg及びリトナビルとして100mg)を食後に経口服用し、
   服用期間は12週間とする。
SE:浮腫、吐き気、頭痛など。浮腫は、Ca ant.との併用時に起きやすい。肝機能値異常。(飲み始めの1カ月間は要注意)
薬価:2016 ヴィキラックス配合錠:23,057.5円
   46,115円/日

グラゾプレビル・エルバスピル (グラジナ・エレルザ:MSD)

NEW!!
Grazoprevir (NS3-4A プロテアーゼ阻害薬) + Elbasvir (NS5A 複製複合体阻害薬)
適応:セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善。
用法:グラゾプレビル水和物として
   エルバスビルとして
SE:
薬価:2016 グラジナ錠50mg:円、エレルザ錠50mg:円
   円/日

ソホスブビル (ソバルディ:ギリアド)

ジェノタイプ2型のDAA。リバビリンを併用。
投与開始前にヘモグロビン量が12g/dl以上であることを確認。
リバビリンによる溶血性貧血。
併用禁忌:カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ

Sofosbuvir (NS5B ポリメラーゼ阻害薬) + Ribavirin (グアノシンアナログ:抗ウイルス薬)
適応:セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善。
用法:リバビリンとの併用において、通常、成人はソホスブビルとして400mgを1日1回、12週間経口服用する。
   (レベトールカプセル200mg:MSD、コペガス錠200mg:中外(ロシュ))
   60Kg以下は朝1夕2、80Kg以下は朝2夕2、80Kg超は朝2夕3
SE:貧血、倦怠感、掻痒感、頭痛、悪心
薬価:2016 ソバルディ錠400mg:42,239.6円、レベトールカプセル200mg:580.1円、コペガス錠200mg:789.2円
   42,239.6円/日 + 1,740.3円/日~3,946円/日
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