肺癌
イレッサが有名であるが、無効になってくる症例に対して、新薬が発売された。
EGFR-TKIを使用する内に耐性が生じてしまうと考えていたが、実はもともと耐性のあるものもあり、
淘汰されて結果的に耐性のあるものが増えてしまうという考察もあるらしい。
ならば、最初からタルセバとタグリッソを併用するとかはどうなのだろう。
…価格と副作用の問題をクリアするのは難しいかも。
分類はWikipediaを参照した
小細胞肺癌:SCLC (small cell lung cancer)
小細胞肺癌
肺癌の20%。喫煙との関連性大。中枢側の気管支から。
悪性度が高く、脳などの他臓器に転移しやすいため、発見時すでに進行癌であることが多い。
そのため、化学療法、放射線療法の適応となるが、また、これら治療の感受性が比較的高いので、選択される。
ただし、再発率も高い。
腫瘍マーカー:ProGRP、神経特異的エノラーゼ(NSE)
非小細胞肺癌:NSCLC (non-small cell lung cancer)
3つの組織亜型があるが、治療上の観点から一括して、小細胞肺癌に対応して総称される。
stageIII期までは手術療法が検討される。stage IV以上では手術の適応となることは乏しく、化学療法、放射線療法が治療の主体となる。
EGFR(上皮成長因子受容体)の遺伝子変異(エクソン19 21等)がある症例(多くは 女性・非喫煙者・腺癌)では、分子標的治療薬の
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬での高い奏功率が報告されている。
肺扁平上皮癌:Squamous cell carcinoma
気管支の扁平上皮化生(分化成熟したある細胞が他の分化成熟した細胞の形態に変化すること)した細胞から発生する癌。
喫煙との関連性大。中枢側の気管支から。
腫瘍マーカー:SCC(扁平上皮癌関連抗原(squamous cell carcinoma antigen、SCC Ag)、CYFRA(シフラ)
ペメトレキセドなどの葉酸拮抗薬に対する感受性が乏しい。
EGFRが変異していることは少ない一方、VEGFR(血管内皮細胞増殖因子受容体)が変異していることが多いので、
抗VEGFモノクローナル抗体のベバシズマブ(アバスチン)が分子標的治療に用いられる。
肺腺癌:Adenocarcinoma
肺の腺細胞(気管支の線毛円柱上皮、肺胞上皮、気管支の外分泌腺など)から発生する癌。
肺末梢側に多い。喫煙とも関連あるが、非喫煙者の女性に発生する肺癌は主にこの型。
腫瘍マーカー:CEA(癌胎児性抗原)、SLX(シアリルルイスX抗原)
EGFRの変異が多く、VEGFRの変異が少ない。
… 細気管支肺胞上皮癌:Bronchioloalveolar carcinoma(BAC)
肺腺癌の亜型で、形態学的に細気管支上皮・肺胞上皮に類似した高分化腺癌。全肺癌の3-4%。
他の非小細胞肺癌と比較すると若年者、女性に多く、進行は比較的緩徐で喫煙との関連が薄い。
肺大細胞癌:Large cell carcinoma
扁平上皮癌にも腺癌にも分化が証明されない、未分化な非小細胞肺癌のこと。
発育が早く、多くは末梢気道から発生。
VEGFRの変異が少ない。
第一世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬:EGFR-TKI
EGFRは、細胞の増殖や成長を制御する上皮成長因子 (EGF:53アミノ酸残基及び3つの分子内ジスルフィド結合から成る6045 Daのタンパク質)
を認識し、シグナル伝達を行う受容体。
チロシンキナーゼ型受容体(タンパク質のチロシン残基を特異的にリン酸化する酵素であるチロシンキナーゼ活性部位を持つ受容体で、増殖因子が結合する
ことによって、標的タンパクと特異的にリン酸化することにより、細胞の分化、増殖、接着、免疫反応などにかかわるシグナル伝達が始まる。)の一つで、
細胞膜を貫通して存在する糖タンパクで、HER1,ErbB1とも呼ばれる。★ Signalingイメージを見せてもらった。
EGFRをコードする遺伝子のうち、
エクソン(mRNA前駆体でスプライシングで残る部位)19にコードされるDNA15塩基(アミノ酸5残基)が欠損したもの、
エクソン21にコードされる858番目のアミノ酸であるロイシンがアルギニンへ置換されたもの (L858R)、
エクソン20にコードされる719番目のグリシンがセリン、アラニンあるいはシステインへ置換されたもの (G719X: X = S, AまたはC) の3つ。
特に前者2つの変異が存在すると、ゲフィチニブが腫瘍縮小効果を示す。
この変異EGFRは、EGFRのATP結合部位に構造変化を起こす結果、リガンドの刺激がなくても恒常的に活性化するようになり、細胞の悪性化に関わる。
しかし、この変異によって、ゲフィチニブへの親和性も高まり、活性化できずに、癌細胞がアポトーシスを起こすこととなる。
ゲフィチニブ (イレッサ:アストラゼネカ)
L858R変異にはジオトリフより優先。
適応:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
用法:ゲフィチニブとして250mgを1日1回、経口服用
SE:間質性肺疾患肝障害、重度の下痢、脱水症状
ニキビのような発疹、出血性膀胱炎、消化管出血など。
薬価:2016 イレッサ錠250mg (6,712.7円)
6,712.7円/日
エルロチニブ (タルセバ:中外(ロシュ))
L858R変異にはジオトリフより優先。
適応:切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌
EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、がん化学療法未治療の非小細胞肺癌
治癒切除不能な膵癌(25mg、100mgのみ適応)
用法:非小細胞肺癌…150mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日1回経口服用。患者の状態により適宜減量。
膵癌…ゲムシタビンとの併用において、エルロチニブとして100mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日1回経口服用。
患者の状態により適宜減量。
SE:間質性肺疾患肝障害、消化管潰瘍、角膜潰瘍など。
ほとんどの人にあらわれるのが皮膚障害、そして下痢。
薬価:2016 タルセバ錠25mg (1.978.3円)、 100mg (7,272.5円)、 150mg (10,642.6円)
10,642.6円/日、膵癌:7,272.5円/日
第二世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬:EGFR-TKI
EGFRはErbBファミリーの内、ErbB1の別名。他にErbB2(HER2)、ErbB3(HER3)、ErbB4(HER4)とある。
受容体が活性化すると、他の受容体と二量体を形成し、ATPを利用してチロシン残基をリン酸化し、シグナル伝達が開始される。
第2世代は、EGFRのみならず、ErbBファミリーを阻害し、チロシンキナーゼ(ATP結合部位)に不可逆的に結合する。
アファチニブ (ジオトリフ:ベーリンガー)
エクソン19欠失変異に特に有効性が高い。
適応:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
用法:ファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口服用。患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量可。
SE:間質性肺疾患肝障害、心不全、膵炎など。
ほとんどの人にあらわれるのが下痢・脱水症状と皮膚障害。
薬価:2016 ジオトリフ錠20mg (5,840.7円)、 30mg (8,547.4円)、 40mg (11,198.5円)、 50mg (12,760円)
11,198.5円/日
第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬:EGFR-TKI
EGFRのエクソン20にコードされる790番目のアミノ酸であるトレオニンのメチオニンへの置換 (T790M)
761番目のアスパラギン酸のチロシンへの置換 (D761Y)がゲフィチニブ耐性変異。
T790Mはゲフィチニブに耐性を獲得した非小細胞肺癌の約半数にみられる。
T790M 変異により立体構造が変化した ATP 結合サイトに親和性が高いEGFR-TKIが第三世代。
オシメルチニブ (タグリッソ:アストラゼネカ)
T790M変異陽性の方は、化学療法に移らずに、EGFR-TKIが継続できるようになった。
適応:EGFR-TKIに抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
用法:80mgを1日1回(副作用の発生状況に応じて1日1回40mgに減量)
SE:間質性肺疾患肝障害、心障害・QT延長、
血小板・好中球・白血球減少、(鼻血、歯茎出血、発熱、のどの痛みなど)、貧血など。
薬価:2016 タグリッソ錠40mg (12,482.5円)、 80mg (23,932.6円)
23,932.6円/日
ALK阻害剤
ALK(Anaplastic Lymphoma Kinase)は細胞の増殖を司るチロシンキナーゼの一種である。
通常は休眠しているが、非小細胞肺癌の3〜5%ではALK 遺伝子と他の遺伝子(EML4)の融合が見られ、キナーゼ活性を有する異常タンパク質が
生成して悪性化する。このALK融合遺伝子陽性のケースは主に、若年者・非喫煙者・EGFR遺伝子変異陰性。
ALK阻害薬の対象はALK融合遺伝子陽性患者に限られる。
クリゾチニブ (ザーコリ:ファイザー)
適応:ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法:1回250mgを1日2回経口服用。適宜減量(副作用で休薬後に再開する場合、1回200mgに減量することがある)
SE:間質性肺疾患肝機能障害、血液障害、不整脈(除脈)
嘔吐、下痢、便秘、視覚異常など。
薬価:2016 ザーコリカプセル200mg (9,690円)、 250mg (12,026.4円)
24,052.8円/日
アレクチニブ (アレセンサ:中外(ロシュ))
選択的でより強いALK阻害作用を持つ。相互作用も少ない。
適応:ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法:1回300mgを1日2回経口服用。食事の影響を避けるため、空腹時に服用することが望ましい。
SE:間質性肺疾患肝機能障害、血液障害
味覚異常や口内炎、吐き気や下痢、発疹など。
薬価:2016 アレセンサカプセル20mg (901.7円)、 40mg (1,763.97円)、 150mg (6,614.6円)
26,458.4円/日
セリチニブ (ジカディア:ノバルティス)
クリゾチニブ抵抗性の場合。アレクチニブを1次治療に用いた患者には投与できない。
適応:クリゾチニブに抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法:セリチニブとして750mgを1日1回、空腹時に経口投与する。患者の状態により適宜増減。
SE:致死的な間質性肺疾患、肝機能障害、QT間隔延
除脈、悪心、嘔吐、下痢、高血糖など。
薬価:2016 ジカディアカプセル150mg (6,297円)
31,485円/日